-
-
2023.09.11
耕知塾の千田周平です。耕知塾は金町、日暮里にある地域密着の、そして少人数責任指導の集団塾です。
夏期講習が終わりました。
夏期講習では、通常と違って週5日ペースで生徒と顔を合わせることになるので、日々の生徒の心持ちの変化にも気が付きやすいのですが、今日はとある中2の生徒の話を。ここからはその生徒のことは「彼」と呼びます。
彼はそんなに勉強が得意ではなく、普段もなかなか集中力が続かないタイプです。しかしある日の英語の授業で、何度も繰り返してきたbe動詞と一般動詞を区別する問題で、しっかり正解していました。
たったそれだけの話なのですが、これは講師の勘というのでしょうか、それは「ちゃんと考えないと間違えてしまう」出題だったのです。「へぇ~彼はこれができるのか」とその日は思ったのですが、翌日の休み時間に、彼が友達と話しているときの言葉がふと耳に入ってきて合点がいきました。なんと、
「いや、ちょっと勉強しないとまずいなと思って」
と言っていたのです。
生徒が変わる瞬間、塾でいえば勉強に熱意が向く瞬間とはどんなときでしょうか。
もちろん理想的なことを言えば、「勉強が楽しいと感じたとき」です。耕知塾も「勉強って実は楽しい」をスローガンに掲げ、どうしたらそれを実現できるか各講師頭を悩ませるわけですが、実際のところ勉強が不得意な生徒にとっては「勉強が楽しい」にたどり着くまでのハードルはかなり高いものです。
ではまず何から始まるかと言うと、それは恐らく「あの先輩のようになりたい」とか「あんな大人にはなりたくない」みたいな、他人からの影響みたいなものでしょう。前述の彼も、勉強以前に周囲の誰かから何かしらの影響を受け、その時は気持ちが動いたようです。指導者がどんなに勉強させようと励ましても動かないものも、勉強とは全然関係ないふとしたことで動くのですよね。
では結局指導者の役割って何でしょう。ひとつは、前述の彼のような「勉強が楽しい」の山に一歩足をかけた子を導くことです。でもこれは指導者の立場にある人なら基本的にはやっていることだと思うのです。
もうひとつの役割は、「ああいう人になりたいという存在でいること」かなと思っています。言い換えるなら「幸せでいること」とでも言いましょうか。
「何だかあの先生は楽しそうだな、人生楽しんでそうだな、そんな人が教えている勉強ってどんなものかな」
そんな風に生徒の気持ちを動かす存在でいたいと、彼を見て改めて思ったのです。