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2021.07.04
皆さん、耕知塾の千田周平です。耕知塾は金町、日暮里にある地域密着の、そして少人数責任指導の集団塾です。
いよいよ東京オリンピックが近づいてきました。
先週末には、オリンピックをかけた陸上の日本選手権もありました。高校、大学と陸上競技の100mに明け暮れた私は、毎年胸を熱くしながら見ています。今回は、私自身の陸上競技生活を思い返し、そこから思うことを書いてみます。(長くなったので2記事に分けています。)
* * *
私が陸上競技と出会ったのは中3の時です。当時私は野球部でしたが、陸上部から「秋にある大会に出てみないか」と言われたのがきっかけでした。そのまま高校は陸上部に入り、大学でも体育会の陸上部で4年間陸上100mに打ち込むことになります。
本格的に陸上を始めた高1の一番最初の大会、100mの記録は12秒8でした。そこからなんと、
高1:11秒9
高2:11秒5
高3:11秒1
と、とんとん拍子で記録を伸ばすことができたのです。
私はなぜこんなにも順調に記録を伸ばせたのでしょうか。きっと、陸上部での3年間の練習がすべてかみ合い、成果として現れたのでしょう。大学でもこの調子でもっともっと速くなりたいと、迷わず大学陸上部の門をたたきました。しかし、・・・。
大1:11秒7
大2:11秒2
大3:11秒3
大4:11秒3
大学4年間一度も高3の時の記録を更新できなかったのです。
浪人生活1年間のブランクがあったため、大1で記録が停滞したのは仕方ないにせよ、大2以降も、結局一度も自己ベストを更新できませんでした。原因は色々あるでしょうが、この経験をしたことで私は、ある意味当たり前の疑問に行き着きます。
「そもそも、足を速くするにはどうしたらよいのか」
そりゃあ「練習すればよい」ということになりますが、私の場合、大学4年間は本気で練習し続けたのに記録を伸ばせなかったのです。
練習すれば速くなるはず・・なのにならない・・そもそも練習とは何だ?
足を速くするための練習とは何だ?
足が速いとは何だ?
足が速く動くことか?
もしそうだとしたら、足を動かしている筋肉はどこか?
その筋肉をどう鍛えたらよいか?
もしくは速く動かすのではなく、力強く地面を蹴ることが重要なのか?
だとしたらどの筋肉を強化したらよいか?
またどのように強化したらよいか?
それとも練習しすぎて、体が疲労してしまっているのか?
ならもう少し練習のペースを落とすべきなのか?
そもそも、高校時代あんなに簡単に記録が伸びたのはなぜなのか?
もちろん高校の時だって、こういうことは考えてきたはずです。しかし結果が出ていたことにより、もしかしたらうやむやになっていた。大学で記録が伸びなくなって今度こそ、この「足を速くするにはどうしたらよいのか」という疑問と正面から向き合うことになります。
もちろんすぐには答えなんて出ません。堂々巡りを経て、私は以下のように考えを整理するようになりました。
高校時代に記録が伸びたのは、ある意味で走りに「慣れた」ことによる。つまり、練習して足が速くなったというよりは、もともと自分の中には自己ベストの11秒1を出せるくらいの材料はすでに揃っていて、それらを無駄なく使えるようになった結果、記録が伸びていった。
大学時代に伸び悩んだのは、すでに持っていた材料でできる最適な状態まで近づいてしまったためである。つまり、走りに完全に「慣れた」状態まで辿り着いたため、新たな材料を得たり、今ある材料を磨き上げる努力をしなければ記録は伸びていかないにも関わらず、その方法が分からず(思いつかず)、伸び悩んでしまった。
単純に言ってしまえば、「高校時代に記録が伸びたのは自分にもともと素質があったから。しかし、その素質にあぐらをかいたため、大学時代には限界がきて記録が止まってしまった。」ということになるでしょうか。
誤解のないように言っておくと、私自身、高校大学共に、練習に手を抜いたつもりはありません。本当に一生懸命やったのです。高校、大学ともに同じように努力しているのに、なぜか大学ではうまくいかなかった。裏を返せば私は、高校の時どうして記録が伸びたのか、本当の意味で理由は分かっていなかったのでしょう。「一生懸命練習したから速くなった」。走りに対してその程度の浅い理解だったわけです。
その後、この陸上での経験は、勉強にも置き換えられるのではないかと考えるようになりました。(後編に続く)